尺骨突き上げ症候群
尺骨突き上げ症候群とは?

手関節尺側部痛(手首の小指側の痛み)の原因の一つです。
骨と骨(尺骨と月状骨)がぶつかり、痛みが出ます。
症状は、手首を返す、捻ると痛い、です。
ドアノブを回すなど、ちょっとした動作でも角度によって痛みが出ることもあります。
外傷などの誘因なく、痛みがでることが多いです。
尺骨突き上げ症候群の原因・診断
TFCC損傷との鑑別が大切です。
尺骨の長さは個人差があります。
尺骨が橈骨よりも長いと、尺骨と月状骨がぶつかりやすくなります。
また、橈骨遠位端骨折で短縮して骨癒合すると、相対的に尺骨が長くなり発症することがあります。
触診により痛みの部位を確認します。
また、尺屈テスト(手首を小指側に曲げる)で痛みが誘発されます。
レントゲンでは、尺骨が橈骨よりも長いことが多いです。
また、MRI、関節造影検査も有用です。
症例

(左)典型例では、尺骨が橈骨よりも長くなっています。
(右)尺骨の突き上げにより、月状骨が削れています。(矢印:黒くなっている部分)
尺骨突き上げ症候群の治療
手首の尺屈を制動する装具・サポーターを装着します。
痛みが改善しない場合には、手術を考慮します。
尺骨短縮骨切り術

尺骨の長さに応じて、尺骨を数mm(通常は2~4mm程度)短縮してプレートで固定します。
これにより、尺骨と月状骨がぶつからなくなります。
同時に、突き上げにより損傷したTFCCの軟骨部分を関節鏡下に切除することがあります。
- 麻酔:伝達(片腕)麻酔を行います。
- 手術時間:60分程度です。関節鏡を併用する場合は90分程度となります。
- 手術後の経過:手術後2~3週程度のスプリント固定をします。家事やデスクワークは手術後2〜3週頃から徐々に可能です。スポーツ復帰は骨癒合してからで、手術後2~3ヶ月頃から可能となります。手術後1年~1年半頃に抜釘手術を行います。
尺骨の短縮により、尺骨と月状骨の間のスペースが広がっています。