伸筋腱脱臼
伸筋腱脱臼とは?
グーをすると、伸筋腱がズレます(腱の脱臼)。
ほとんどは中指ですが、稀に他の指でもおこります。
正常では、伸筋腱は両側の矢状索(しじょうさく)により引っ張られて(支えられて)バランスがとれています(下図)。
矢状索が断裂すると、腱は反対側に引っ張られて脱臼します。
通常は、親指側の矢状索が断裂し、小指側に脱臼します。
伸筋腱脱臼の模式図

矢状索が断裂した結果、腱の脱臼が起こります。
伸筋腱脱臼はなぜ起こる?
指先で何かをはじいた瞬間、払いのけた瞬間に生じる場合(典型的には、デコピン!)と、何かを殴って直接ぶつけて生じる場合があります。
また、生まれつき腱が脱臼しやすい先天性、リウマチも原因となります。
先天性は、ほとんどが女性で、指の関節が軟らかい(弛緩性)方が多いです。
先天性脱臼例
伸筋腱脱臼の治療は?
先天性、リウマチでは無症状のことが多く、その場合には治療の必要はありません。
長時間の書字や箸を持っていると痛みがある場合には、テーピングまたは手術が考慮されます。
外傷例では、軽症であれば3週間程度のテーピングまたはスプリント固定により治ります。
脱臼が戻る際の引っかかりが強い場合、自力では戻せない場合(ロッキング)には、手術をお勧めします。
重症例
重症例では、一度指を曲げると、脱臼した腱が戻れずに自力で指を伸ばせなくなります。
伸筋腱脱臼の手術

新鮮例(受傷後2~3週以内)では、断裂した矢状索の縫合を行います(縫合術)。
受傷から長期間経過した場合や先天性では、伸筋腱の一部を利用して矢状索を補強します(再建術)。
どちらの方法でも、実際に指を動かして腱の脱臼がないことを確認するために局所麻酔で行います。
左図が縫合術、右図が再建術となっています。
- 麻酔:縫合術でも再建術でも、局所麻酔を行います。
- 手術時間:縫合術は15~20分程度、再建術は30~40分程度です。
- 手術後の経過:縫合術の場合は、手術後3~4週のテーピングをし、テーピングの範囲内で使用します。以後は制限なく使用できます。
再建術の場合は、手術後2~3週間のギプス固定とし、その後は3~4週程度のテーピングをします。