伸筋腱(しんきんけん)断裂
伸筋腱断裂 〜指〜
カッターなど刃物での切り傷の場合(鋭的外傷)、強くぶつける・殴るなどの鈍的外傷のどちらでも腱の断裂が生じます。
指に力が入りにくかったりしますが、多くの場合には指を少しは伸ばすことができるため、見逃されてしまうこともあります。
第1関節での伸筋腱の断裂を腱性マレット、第2関節での断裂をボタンホール変形といいます。
切り傷による腱断裂の場合には、手術により断裂した腱を縫合するのが原則です。
鈍的外傷の場合には、伸びの程度により、手術をせずに装具で治療する場合もあります。
伸筋腱(しんきんけん)断裂 〜手関節〜
外傷がなくても、腱の摩耗により自然に断裂することがあります(皮下断裂)。
よくあるケースは、親指の場合と 小指(または、くすり指と小指)の場合です。
親指の場合
転位(ズレ)の少ない橈骨遠位端骨折(手首の骨折)で生じることが多いです。
長母指伸筋腱(ちょうぼししんきんけん)という腱が、骨折部でこすれて断裂します。
親指が伸びない、上がらなくなります。
長母指伸筋腱の断裂の症例
長母指伸筋腱の断裂により、親指が上がらない状態です。
親指の伸筋腱断裂の手術
皮下断裂した腱の断端(切れ端)はバサバサしており直接縫合できないため、人差し指の伸筋腱2本のうちの1本を長母指伸筋腱へ移行して再建します。
- 麻酔:局所麻酔。
- 手術時間:30〜40分。
- 約3週間のギプス固定を行い、その後より徐々に使います。
手術後3ヶ月ほどで違和感もなくなってきます。
手術後6ヶ月の様子。親指は伸びて、上がるようになっています。
小指(または、くすり指と小指)の場合
関節リウマチや加齢による手関節の変形により、指伸筋腱がこすれて断裂します。
ほとんどんケースでは、最初に小指が断裂し、その後しばらくしてくすり指の断裂が生じます。
上の画像では、骨棘(骨の出っぱり)により腱が磨耗しています。
小指(または、くすり指と小指)の伸筋腱断裂の手術
腱をつないでも同じ部位で再断裂してしまう可能性があるため、腱の手術と骨の手術を同時に行う必要があります。
腱は、隣の指の腱への移行または腱移植(長掌筋腱という無くても支障のない腱を採取)により再建します。
骨は、不安定となっている尺骨頭を固定するか、切除してしまいます。
断裂したくすり指・小指の腱をまとめて中指の腱へ移行し(中央)、断裂した腱を移植腱により橋渡しします(右)。
骨の手術では、腱の再断裂の予防のため、尺骨頭の固定(S-K法)(左)、または、尺骨頭切除(右)を行います。
- 麻酔:伝達(片腕)麻酔
- 手術時間:90〜120分
- 約3〜4週間のスプリント固定または装具を装着し、早期にリハビリを開始します。
手術後2〜3ヶ月程度で日常生活での動作はおおよそできるようになります。
手術後6ヶ月の様子では、指が伸びています。