橈骨遠位端骨折・変形治癒
橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折とは?
特に高齢者では、非常に頻度の高い骨折です。転倒して手をついて手首が腫れたら、まずこの骨折を疑ってください。
骨はつきやすいので、転位(骨折のズレ)が少ない場合には4週間程度のギプス固定をします。
転位が大きい場合や亜脱臼(関節のズレ)がある場合には、痛みや機能障害が残らないように手術治療をします。
転位が大きい場合には、プレート固定
変形治癒による痛み・機能障害
骨はついたけれど、動かすと痛い、手指・手首に力が入らない(ガクガクする) 、が残ることがあります。
原因として、骨折が変形してくっついている(変形治癒) 場合があります(他に、靭帯損傷(主にTFCC損傷)を合併している場合には、靭帯の治療が必要となります)。
変形治癒が原因の場合には、骨を元の形に矯正する手術で改善が見込めます。
橈骨の変形を手術により矯正
橈骨遠位端骨折による腱断裂
橈骨遠位端骨折を原因として腱が断裂してしまうことがあります。①親指が曲がらない場合、②親指が伸びない(上がらない)場合、があります。
①親指が曲がらない
発生頻度は比較的稀ですが、プレート固定手術後にみられます。
長母指屈筋腱(ちょうぼしくっきんけん)がプレートの端でこすれて断裂します。
手術後数年してから断裂することが多いです。治療は、プレートを抜去し、腱移植や腱移行により断裂した腱を再建します。
(左)正常。(右)長母指屈筋腱が断裂し、力を入れても第1関節を曲げられません。
②親指が伸びない
長母指伸筋腱(ちょうぼししんきんけん) が、骨折部でこすれて断裂します。
転位の少ない骨折の治療中に生じます。
ギプスを外したら、親指が伸びない、上がらないことに気づくことが多いです。
治療は、腱移行により断裂した腱を再建します。
長母指伸筋腱が断裂すると、親指が伸びない、上がらない。
親指の伸筋腱断裂の手術
皮下断裂した腱の断端(切れ端)はバサバサしており直接縫合できないため、人差し指の伸筋腱2本のうちの1本を長母指伸筋腱へ移行して再建します。
腱移行による再建:2本ある人差し指の腱のうちの1本を、親指の腱(長母指伸筋腱)へ移行
- 麻酔:局所麻酔
- 手術時間:30~40分。
- 手術後の経過:約3週間のギプス固定を行い、その後より徐々に使います。手術後3ヶ月ほどで違和感もなくなってきます。
手術後6ヶ月。親指は伸びて、上がる。